コーポレートファイナンスについて、勉強を始めました!お金にまつわる分野は苦手なのですが、経営者として意思決定を行うためには、おカネは大事!勉強してみると、企業の存続を占う、めちゃくちゃ大事な分野だなと思いました。
今回は所謂「コーポレート・ファイナンス」について、その全体像と重要性をまとめていこうと思います。
「ファイナンス」の分野では何を学ぶの?
そもそも「ファイナンス」って何を学ぶ分野なのでしょう?
ハーバード大学やMITなどのMBAコースで使われている企業ファイナンスの教科書である「ファイナンシャル・マネジメント」では、ファイナンスを下記のように、表しています。
アカウンティング(会計)はビジネスにおけるスコアボードである。それは企業のさまざまな活動を客観的な数値に変換し、企業の業績、問題点、将来見通しについての情報を提供する。ファイナンスでは、これらの会計の情報の解釈を通じて、将来の行動計画を立てることになる。
「ファイナンシャル・マネジメント 企業財務の理論と実践(改訂3版)」
アカウンティング(会計)では、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)に代表されるような財務諸表を通して、過去の実績を一定のルールに従ってまとめ、外部に向けて発信します。対して、ファイナンスでは、財務諸表に示されている指標の中でも、キャッシュフローに注目し、将来の行動計画を立てることに重きを置いています。
コーポレート・ファイナンスとは、①企業価値の最大化を図る上で、いかに資金を調達し、投資すればよいかを金銭的側面から検討・実行する活動。 ②企業の財務活動のうち、事業に必要な資金を金融市場から調達するための活動の総称。
コーポレート・ファイナンスとは・意味|創造と変革のMBA グロービス経営大学院 (globis.ac.jp)
つまり、「コーポレートファイナンス」とは、企業の価値を高めるために、何に投資するべきか?や、どこから資金調達をして、どのようにそのお金を分配するか?といった問いに答える営みだといえそうです。
ファイナンスが重要な2つの理由!なぜ重要?
それではなぜ、ファンナンスは重要なのでしょう?
ファイナンスが重要な理由①インパクトが大きい投資のために必要だから
ファイナンスを学ぶことが重要であるひとつ目の理由は、インパクトが大きい投資のためには、定量的にその投資に本当に意味があるのか判断する必要があるからです。
企業にとって多額のキャッシュを使う投資はその存続を左右する大事な決断です。その意思決定を誤ると大きなリスクを持ってしまいます。最悪は、倒産してしまう場合も・・。
例えば、液晶パネルや太陽電池の開発で一時期世界をリードしていたSHARP。2010年代から業績が悪化し、現在では鴻海精密工業の傘下に入っていますが、その失敗の一つが、大阪府堺市に新しく作った工場への投資といわれています。
片山社長は大阪府堺市に4300億円を投じて新工場の建設に乗り出した。60インチサイズの大型液晶パネルを効率よく生産できる最先端の液晶工場と世界最大の太陽電池工場で、10年に完成した。だが08年に起きたリーマンショックの後で、タイミングが悪かった。片山社長がもくろんだ通りには60インチサイズの大型液晶テレビは米国でも売れなかった。中型サイズで攻勢をかける韓国サムスン電子などに足をすくわれ、在庫の山を築く結果となった。在庫処分と操業率の低下が雪だるま式に赤字を膨れ上がらせたのである。
シャープ、失敗の本質と再生の可能性 | nippon.com
SHARPは投資が生み出すキャッシュの予測や、そのリスクの予測を失敗し、のちに大きな赤字を作ってしまうことになったのです。
このように、企業にとって大きな投資は、その将来の存続に大きな影響を与えます。そのため、ファイナンスを勉強し定量的にその投資を判断することで、できる限り失敗するリスクを抑えることが、とても重要なのです。
ファイナンスが重要な理由②企業にとって投資家との会話が大事だから!
次にファインナンスが重要な理由としてあげられるのは、企業にとっては、投資家との会話がとても大事であることが挙げられます。
企業の資金調達の方法として、昔は銀行から借金をしてお金を借りること(間接金融)が一般的でしたが、現在では、資金調達の方法が多様化しており、投資家からの直接金融が一般的になっています。そういった環境の変化もあり、企業にとって投資家との対話がとても重要になっているのです。
投資家の企業に対する一番の関心事は何でしょうか?それは、投資家自身が出資したキャッシュがどれだけ大きくなって戻ってくるか、です。
企業としては、株主に対して、どれだけその企業の価値が高くなったかを明確に示す必要があり、「企業が将来生み出す価値」をしっかりと株主に伝える必要があります。そのためには、財務諸表上の損益だけでなく、ファイナンスの概念を用いて、その企業が生み出すキャッシュを株主に伝えていく必要があるのです。
何故ファイナンスでは、キャッシュフローに注目するの?
ファイナンスでは、企業の価値を表現するときに会計で使用する「利益」などではなく、「キャッシュフロー」という概念を用います。
キャッシュフローとは、実際に入ってきたおカネと、出ていったおカネの差分のことです。なぜ、会計上の損益ではなく、キャッシュフローに注目するのでしょうか?
①会計上の損益は、会計基準によって差異が出てしまうから
まずひとつの理由は、損益は、企業ごとの会計基準によって差異が出てしまうからです。例えば、減価償却費のように、企業ごとの会計基準によって変わってくる要素があります。
このように損益は、あくまでも計算の結果の数字であり、実際には手元にないおカネも表してしまっており、会計基準によって差異が出てしまうのです。対して、キャッシュフローは、現実として入ってきたおカネと、出ていったおカネの差異であるため、一つの値に定まります。
そのため、ファイナンスでは、キャッシュフローに注目するのです。
②資金提供者は、キャッシュで投資を行うから。
もうひとつの理由は、資金提供者である投資家や銀行はキャッシュで投資を行うからです。投資家目線で見ると、投資家の目的は、キャッシュを増やすことです。そのため、損益以上にどれだけ配当がもらえるかや、企業価値が上がったか、が重要なのです。
そのため、企業にとっては、キャッシュで見ることが重要なのです。
次回は、「お金の時間的価値」や「割引率」についてまとめてみたいと思います!
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